口腔・嚥下ケアチーム(Oral and swallowing Care Assistance Team : O-CAT)
口腔・嚥下ケアチーム
チームリーダー
歯科医師
齋藤 真由
私たちは毎日、あたりまえに食べ物を食べ、飲み物を飲んでいます。しかし、何らかのきっかけで「食べられない」トラブルが起こる事は決して特別な事ではありません。当院に入院される患者さんの病気は様々で、どんな疾患からもこのトラブルは起こり得ます。そして「食べられない」ことが低栄養へつながり、病気の回復を遅らせる事になるのです。
口腔・嚥下ケアチーム(O-CAT)は平成25年に発足し、「健康回復の土台は栄養にある」事を念頭に、患者さんの状態に合った栄養確保の方法を主治医と相談し、アドバイスを行ってきています。
また、高齢化に伴い、認知症などでご自身で様々な事を行うのが困難な患者さんも増えています。そのような方々にもどうしたら安全に食べられるか、栄養を確保できるかなどを考え、さらに退院後の環境に合わせた対応についても、患者さんだけでなくご家族も一緒にサポートを行っております。
われわれ口腔・嚥下ケアチームでは、一人でも多くの患者さんに「口から食べる幸せ」を取り戻せるようお手伝いをしています。また、必要な全ての栄養量を口から食べられない患者さんに対しても、口から食べることだけにこだわらず、患者さんとそのご家族にとって何が最善かをチーム一丸となって考え、患者さんとそのご家族に寄り添ったアドバイスができるよう日々努力しています。
役割とメンバー
口腔・嚥下ケアチームは、毎週木曜日に病棟回診を行っています。
主な回診メンバーは、歯科医師、摂食嚥下看護認定看護師、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師、管理栄養士、歯科衛生士です。
その他サポートメンバーとして、医師、理学療法士(PT)・言語聴覚士(ST)・ 作業療法士(OT)と情報共有し、患者さんの摂食嚥下障害の診察、安全な食形態や食べ方の検討、リハビリテーションなどを行っています。
歯科医師
- 摂食嚥下状態の診察、訓練、画像検査を行います。また、主治医と適切な栄養投与経路や経口摂取の可否などの相談やアドバイスを行います
認定看護師
- 摂食嚥下状態の評価や専門性を生かしたケアを実践し、スタッフの指導や相談も受け、病棟でのケアの統一に努めています。また、患者さんやご家族に生活支援のアドバイスなども行います。
管理栄養士
- 患者様の栄養評価、状態に合わせた食形態の変更や必要栄養量の調整を行います。また、退院される患者様とご家族への栄養・食事指導も行います。
歯科衛生士
- 口腔清掃の他、口腔内マッサージなど口腔解剖、機能を理解した視点から専門的口腔ケアを実践します。
理学療法士・言語聴覚士・作業療法士
- 全身の廃用、拘縮予防や体力の維持や向上のためのリハビリテーションを実施します。また、安全かつ安定した摂食姿勢を調整したり、食環境の整備、嚥下訓練も行います
職種 |
氏名 |
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歯科医師 栄養士 |
齋藤 真由 | 歯科医師、栄養士両方の知識を生かし、患者さんの診療にあたっています。 患者さんと家族にとって最善な方法を考え、一人でも多くの方に食べる事、栄養を摂ることに対する安心感を持っていただけるよう努力しています。 |
摂食嚥下障害看護認定看護師 | 道上 智佳 | 他職種のスタッフと連携を大事にしながらチームラウンドを行っています。患者さんや家族の「食べたい、食べさせてあげたい」思いに寄り添い、支えていかれるよう活動しています。 |
脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 | 赤根 愛子 | 患者さんの状況に合わせ、患者さんがその後の生活をその人らしく送れるよう、チームメンバーとして活動しています。安全に食べるための姿勢調整なども行っています。 |
管理栄養士 | * | おいしく楽しんでいただける食事はもちろん、栄養面からもしっかりサポートしていきます! |
歯科衛生士 | 北澤 浩美 | ☆口は命の源☆ 細菌だらけの口では、食事を摂ることも健康を維持することもできません。口の衛生と共に機能面も含めたアプローチで、患者様の食べられる口を歯科衛生士で作ります! |
*管理栄養士は交代制
医師(リハビリテーション科医長) | 尾花 正義(日本リハビリテーション医学会専門医) |
医師(耳鼻咽喉科医長) | 木村 百合香(日本耳鼻咽喉学会耳鼻咽喉科専門医、日本気管食道科学会気管食道科専門医) |
歯科医師(歯科口腔外科医長) | 齋藤 浩人(日本口腔外科学会口腔外科専門医) |
リハビリテーション科 スタッフ | 理学療法士、言語聴覚士、作業療法士 |
チーム活動の実際
回診実績
H26年度 | H27年度 | H28年度 | |
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新規患者数 | 195名 | 268名 | 255名 |
回診患者数 | 620名 | 689名 | 548名 |
摂食嚥下に関する学会発表・研究業績など
- 『摂食嚥下チームの活動の取り組みと今後の課題』金子(道上)智佳、齋藤真由、北澤浩美、西山孝子 :東京都福福祉医療学会雑誌.H24:142-143,2012(誌上発表)
- 荏原病院における口腔・嚥下ケアチームの発足』北澤浩美、齋藤真由、道上智佳、西山孝子、尾花正義、齋藤浩人 :医療マネジメント学会.2014(学会発表)
- 『患者中心の多職種によるチームアプローチから「摂食・嚥下機能に対する理学療法」を再考できた症例』高橋忠志、尾花正義、齋藤真由、道上智佳、北澤浩美、伊藤未恵、佐野真由子:日本摂食嚥下リハビリテーション学会2014(学会発表)
- 『口腔嚥下ケアチームによる専門的口腔ケアの介入状況と退院時の栄養投与経路との関係』北澤浩美、齋藤真由、道上智佳、西山孝子、高橋忠志、齋藤浩人 :日本摂食嚥下リハビリテーション学会.2015(学会発表)
- 『当院における口腔・嚥下ケアチームへの理学療法士の新たな関わり』高橋忠志、尾花正義、齋藤真由、道上智佳、西山孝子、北澤浩美、尾身諭、 :日本摂食嚥下リハビリテーション学会.2015(学会発表)
- 『米飯物性が誤嚥リスクに与える影響』 齋藤真由、道脇幸博、他:口腔科学会誌.55-3:162-166,2006(原著論文)
- 『医家に必要な口腔機能(咀嚼、摂食、嚥下)の評価法 生活支援から医療社会学の視点による連携・協働』永長周一郎、齋藤真由 :総合臨床.56-10:27-33,2007(特集)
- 『寒天を基材とした咀嚼能率検査食の開発』 齋藤真由、道脇幸博、他 :口腔科学会誌.58-2:43-49,2009(原著論文)
- 『咀嚼・嚥下に関する研究』齋藤真由:日本調理科学会誌.43-5 :281-285,2010(総説)
- 『当院地域包括ケア病棟入院患者における舌圧と握力・筋肉量の関係』高橋忠志、尾花正義、齋藤真由、道上智佳、西山孝子、北澤浩美:日本摂食嚥下リハビリテーション学会.2016(学会発表)
- 『画像処理を用いた高齢者の咀嚼能力の評価』齋藤真由ほか:日本食品科学工学会誌 Vol. 62 (2015) No. 3 p. 135-146 論文賞受賞
- 『摂食嚥下機能判定用口腔ケアチャートの作成とその有用性』齋藤 真由、道上 智佳、北澤 浩美、高橋 忠志、齋藤 浩人:日本摂食嚥下リハビリテーション学会.2017(学会発表)
- 『成人男性における最大舌圧に対する嚥下時舌圧の割合と姿勢変化の影響ならびに握力・筋肉量との関連』齋藤 真由、高橋 忠志、道上 智佳、北澤 浩美、木村 百合香、尾花 正義、齋藤 浩人:日本摂食嚥下リハビリテーション学会.2018(学会発表)
- 『健常成人男性における舌圧と握力の関係』高橋 忠志、齋藤 真由、道上 智佳、北澤 浩美、木村 百合香、尾花 正義、齋藤 浩人:日本摂食嚥下リハビリテーション学会.2018(学会発表)