病院歯科とは?
2010.1月号
みなさまは病院歯科にどのようなイメージがあるでしょうか。昨年の口腔外科学会において「病院歯科口腔外科の規模と展望」というシンポジウムがありました。病院歯科はその採算性という尺度から、調査によりますとH5をピークに約20%も減少しているそうです。一人医長など小規模な多くの病院歯科は内外からの要望に応えていく限界を越えていると聞いています。私の大学同期の友人は地方の基幹病院で仕事をしていますが「周りの病院が歯科を切り捨てていくので、逆にうちは患者さんが集まってきているよ」と先日話してくれました。このような状況の中、しかしながら病院歯科の必要性は低下しているとは思われません。
一つは2次医療機関としての役割です。急速な高齢化社会をむかえ、何らかの医科的疾患を持って歯科を受診する患者さんが増加し、診療形態も大きく変化してきました。高齢者及び全身疾患を持った患者さんの歯科治療をはじめ口腔外科疾患の手術、障害者や精神疾患を持った方の対応など、診療所で行うことが困難なものに対して設備の整った施設でリスクを伴う治療を受け持つことは病診連携を発展させてきました。もちろん背後に歯科以外の診療科があることが有利な立場を発揮していることは言うまでもありません。私たちも一人では何もできません。他科の専門医に気軽に相談できることは大きなメリットです。
もう一つの役割が卒後臨床教育です。全身を理解し、有病者に対処できる基礎知識を得るために病院歯科での研修は極めて有意義であると考えています。自分の時代にはなかったであろうこのような教育カリキュラムは研修医制度の中でも重要視されてきています。歴代の当科研修医がみるみる頼もしくなっていくのを見ていますと、歯科医療はもっとやりがいのある仕事になり得るはず、との思いが強くなります。
チーム医療という点でも荏原の歯科は信頼できる心強いスタッフが集まっており病院歯科としての役割を十分発揮できていると考えています。2月16日(火)には恒例の歯科連携医懇親会が開かれますので、多数のご参加をお待ちしております。そして今年もよろしくお願いいたします!